Zendeskのデータの分析環境を準備する方法まとめ
大阪オフィスの玉井です。
提供している製品やサービスを顧客に長く使ってもらおうとする時、それらのサポート(カスタマーサポート等)は非常に重要です。これまでサポートというのはコストセンターとして扱う企業がほとんどでしたが、近年カスタマーサクセス等の思想が出てくるようになって、それに伴ってサポートをプロフィットセンターとして扱う企業も出てきました。製品やサービスで利益を上げるにあたり、サポートという業務はそれだけ重要になってきているということです。
顧客に製品やサービスを継続利用してもらえるようなサポートを提供するためには、サポートに関するデータを徹底的に分析することが必須です。
今回はサポート業務でよく使われているZendeskのデータを分析する際、Zendeskのデータを扱えるようにする方法をいくつかご紹介します。
参考までに、下記エントリは、Zendeskのデータで着目するべき指標をまとめたエントリになります。
目次
本家サービス
Zendesk Explore
実はZendeskはサポートのデータを分析できるBIツールを提供しています。環境準備等が一切要らないので、すぐに分析そのものに集中することができます。また、Zendesk製ということで「中のデータは本当に正しいのか?」という点を心配しなくていいところもメリットです。ただ、他社の汎用的に使えるBIツール(TableauとかQuickSightとかLookerとか)と比べると、操作性にクセがあるのは否めません。でも、基本的な指標はすでにテンプレートで用意されているので、最初はそれを使用するだけでも良いと思います。
注意点は利用条件と価格体系です。Liteプランは0円なのですが、Zendesk SupportのProfessionalプラン以上を契約している必要があります。またより細かいダッシュボードを作りたい場合は(Exploreの)Professionalを検討する必要もあります。逆に言えば、Zendesk SupportのProfessionalプラン以上を既に使用している場合、Liteは無料でいつでも開始できるので、つべこべ言わずにとりあえず使ってみるのもいいかもしれません。
データベース等へ連携(データパイプラインツール)
ここからは各種DBにZendeskデータを格納する方法となります。この項ではデータパイプラインツールを使う方法を記します。データパイプラインツールは入力(Zendesk等)と出力(各種DB等)さえ指定すれば、定期的にデータを自動連携してくれるものです。処理を自分で作成する必要がないのでめちゃくちゃ楽ですが、格納の仕方(ZendeskのデータをRDBMSに落とす時のDB設計)はツールに依存します。
Fivetran
データパイプラインツール最大手(個人的な感想です)。Zendesk以外にも色々なアプリケーションのデータをDB等に自動連携できます。
実際に使ってみたエントリもあるのでどうぞ。
その他Fivetranに関するエントリです。
Stitch
データパイプラインツールとしてはこちらも有名ですね。現在Talend社の傘下となっています。
実際に使ってみたエントリもあるのでどうぞ。
その他Stitchに関するエントリです。
CData Sync
色々なサービスに対応したドライバで有名なCData社ですが、ドライバだけでなくデータパイプラインツールも出しています。上記2製品と異なるのは、ローカルにインストールして使う点でしょうか。
実際に使ってみたエントリもあるのでどうぞ。
データベース等へ連携(ETLツール)
この項ではETLツールを使ってZendeskデータを各種DBに格納する方法を記します。処理内容を手動で設定する必要があるので作業工数はかかりますが、自分が望んだ形でデータを格納できる点がメリットです。
Alteryx
Developers.IOの中でも記事が非常に多いAlteryxです。プログラミングを書くことなく、簡単にデータ前処理ができます(それ以外にも色々なことが可能)。下記エントリやその他Alteryx関連記事をご覧ください。
Xplenty
Alteryxとは異なり、Webブラウザのみで操作が完結するETLツールです。Zendeskとの連携については下記をご覧ください。
データベース等へ連携(手動)
手動…要するにZendeskのAPIから各種データをDBやクラウドストレージに配置する部分をイチから開発する方法です。ハッキリ言ってオススメしません。
技術的なことが理由ではありません。昨今のビジネスのスピードは尋常ではない早さです。1秒でも早くデータ分析を行って自組織の製品やサービスを改善していく必要があります。つまりデータ分析ができるようになるまでの準備は短ければ短いほどいいんです。もちろん適当に進めるのはダメですが、既存サービスを組み合わせてすぐにできるのあれば、何でもかんでも最初から開発するより、既存サービスにお金を払ってさっさと分析環境を立ち上げてしまった方がよいと考えます。
重要なのはデータ分析環境ではなく、データ分析を利用してビジネスを良くすることではないでしょうか。
私のオススメ
データパイプラインツールがオススメ
上述したことを踏まえると、私としては作業が一番少ないデータパイプラインツールの利用をオススメします。「それでいくなら、Zendesk Exploreの方がいいのでは」という感じですが、Zendesk ExploreはZendesk内のユーザーしか閲覧できなかったり、画像やPDFでの共有が少々手間がかかります。サポートのデータを分析する人はZendeskユーザー以外もいるはずなので、それを考えると「何らかのDB+BIツール」がベストだと考えます。
個人的にはFivetranがいい感じ
では「どのデータパイプラインツールがいいのか?」ですが、私はFivetranをオススメします。まず、ZendeskのデータをDBに連携した場合のER図をドキュメントとして公開しているのはFivetranだけです、たぶん。(2020年1月現在)。
これがあるために、DB連携後の分析が非常に捗ります。
図はさておき、実際の格納の仕方も、Fivetranが(私は)一番好みでした。SaaSアプリケーションのAPIって、レスポンスは基本的にJSON形式で取得しますが、そのままブッ込んだりせずに、RDBMSで扱える形に綺麗に格納してくれます。
DBは何がええの?
データ数にもよりますが、分析用途である以上、DWHサービス(Amazon Redshift、Snowflake、BigQuery等)をオススメします。サポートという業務の性質上、ビジネスの成長とともに問い合わせもどんどん増える=データが増える…なので、大量のデータを集計するのに向いているDWHを選ぶのが無難だと思います(最近はクラウド型のものが多いので、規模等をいつでも変更できますし)。
おわりに
データドリブンなサポートを目指しましょう。